講義科目Pickup
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鉄道車両工学Ⅰ・Ⅱ新幹線が高速ですれ違う際、ガタンと揺れる理由
鈴木昌弘 教授
新幹線が高速ですれ違う際、ガタンと揺れる理由を知っていますか? 走る車両の先頭周辺は気圧が高く、そのすぐ後方の運転席周辺は低くなるため、列車同士は空気をはさんで押し合い、直後に引き合うのです。線路や電力供給を含む鉄道システムの全体像から、このような車両の物理的特性までを扱う「鉄道車両工学」は、国内の大学で唯一とも言える科目。鉄道業界の新人教育用教材も用い、実際の車両テストの様子など、鉄道関係の研究所に勤務していた私の経験もお話ししています。身近なのに意外に知らない鉄道のメカニズムを知るだけでなく、巨大システムをどうつくり、安全に維持管理するかを学ぶこの授業は、将来どの分野でも役立つ内容です。
流体力学が専門の鈴木先生。「トンネル内での至近距離のすれ違いや、前後両方向に走行できる車両形状など、鉄道は流体力学的に見て、興味深い問題が満載の分野です」と言います。
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自動車工学Ⅰ・Ⅱ“自動車とはどんな機械なのか”を理解する講義
相馬仁 教授
自動ブレーキなどの運転支援システムや今注目される自動運転。これらの最新技術に関心を持つ人は多いと思いますが、最先端を知るには基礎が重要です。この科目は、“自動車とはどんな機械なのか”を理解する講義です。自動車の原理と基本構造を学び、エンジン、トランスミッション、ブレーキ、ステアリングといった主要部品の構造や機能を学び、性能や安全性の評価について学んだ上で、運転支援システムや自動運転についても紹介します。
自動車工学には熱力学・流体力学・材料力学といった機械工学の基礎がすべて入っています。この学科で学んだ基礎が、自動車の中でどのように息づいているかを実感してもらえたらと思います。本文でも触れた自動運転は相馬先生の研究テーマの一つ。技術的側面だけでなく、倫理・法律・社会を含む幅広い観点から取り組む必要があるそうです。写真は運転支援に関わる実車実験。
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航空宇宙工学Ⅰ~Ⅲエアバス社A350は“プラスチック”で出来ている?
仙場淳彦 准教授
旅客機はどんな材料でできているか、ご存じですか。現在は金属の中でも軽量なアルミ合金が主に用いられますが、2019年9月にJAL国内線に就航したエアバス社A350は、主翼も含めて機体の半分以上が炭素繊維複合材、すなわち“プラスチック”で作られています。大幅な軽量化が図られ、燃費向上・CO2排出量削減と低騒音化が実現しました。さらに今後は、鳥の翼のような柔軟性を備えた主翼や、電力で飛ぶ旅客機の登場なども期待されています。
授業では航空機・宇宙機について、過去に学んだ工学知識を総動員して理解を深めます。旅客機や人工衛星などの高度な機械がどのように作られ、運用されているのかを知る興味深い授業です。「ライト兄弟の世界初有人飛行から120年を経た今、当時のような柔軟性のある材料が再注目されています」と仙場先生。写真は、最新型旅客機エアバス社A350-900の模型です。
研究内容Pickup
分野の特徴と関連研究Pickup
航空宇宙工学
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■ 軽量で壊れにくい構造(構造力学)
■ 大きな力を出す(推進工学)
■ よく飛ぶ形(流体工学)
■ 思い通りに動かす(制御工学)
■ 軽くて丈夫な材料(材料工学)
■ 確実に動くものを(安全性・信頼性工学)
■ 計画通りに正確に作る(生産技術)
様々な工学分野の知識を統合して
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軽量な構造システム
モーフィング翼
・翼の形状を変化させることで燃費向上
・軽量なスマート材料によるアクチュエータの採用
https://www.aero.jaxa.jp/research/basic/structure-composite/news200327.html
宇宙用膜構造
・スマート材料,複合材の適用
・材料の特性を活かした構造物の最適設計
スラスタの着火・燃焼現象の物理モデル構築 -
航空宇宙機推進薬,内燃機関燃料の着火性,燃焼性の研究
燃焼 = 流体力学 + 化学反応
燃料の化学構造の違いが着火性,燃焼性にどのように現れるのか?実験及び理論予測によりその謎を探る
小型軽量アクチュエータの研究開発・スマート材料による軽量化
・高精度制御の実現小型宇宙機プロジェクト小型宇宙機システムによる実機検証
CANSATプロジェクト模擬宇宙機によるプロジェクト経験
鉄道車両空力研究室
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■ 高速列車の先頭形状(最適化技術)
■ トンネル内での動揺対策(振動学、流体力学)
■ トンネル微気圧波対策(圧縮性流体力学)
■ 強風への対策(風工学、流体力学)
■ 地震時の空力ブレーキ(機構学、流体力学)
■ パンタグラフの騒音対策(音響学、流体力学)
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より安全な鉄道を目指して
空力ブレーキ
地震の時にすみやかに止まる鉄道車両空力研究室
竜巻に遭遇した列車に加わる空気力の研究
動揺対策
トンネル内の乗り心地を良くする鉄道車両空力研究室・流体工学
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より速い鉄道を目指して
先頭形状
静かで、省エネルギーで、乗り心地の良い形を考える鉄道車両空力研究室
より静かな鉄道を目指してパンタグラフ
低騒音なパンタグラフ形状をつくる鉄道車両空力研究室 -
列車先頭形状の研究
自動車工学
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■ 自律運転車両の開発(制御工学,情報工学)
■ 自動車の予防安全技術(制御工学,材料力学,情報工学など)
■ 車両の空力性能向上(流体力学など)
■ 衝突安全性の向上(材料力学など)
■ 人間と車の関係を知る(自動車工学など)
■ 環境にやさしい省エネカー(エネルギー工学,流体工学など)
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パーソナルモビリティ(PV)の運転支援
パーソナルモビリティの自己位置推定
視認対象物の可視化:PV搭乗者が周辺環境を視認しているかを推定
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小型電気自動車の自動運転(開発中)路面変位推定
快適な乗り心地を目指して,路面の凹凸をカメラ画像で推定する