乗り物のカタチは、
どうやって決めている?
  • 乗り物のさらなる高速化には欠かせない、空気の流れを科学する「流体力学」。
    自動車や電車、航空機など、さまざまな交通機械は、さらなる高速化や省エネ化をめざして現在も日々進化を続けています。交通機械の高速化において大きな課題となるのが、抵抗や振動、騒音の問題。一般的に物体が移動する際の空気抵抗は速度の2乗、移動時の風切り音は速度の6乗に比例して大きくなっていくことが分かっており、交通機械のスピードアップが進めば進むほど、抵抗や騒音に対してもよりしっかりした対策が必要になってくるのです。こうした対策方法を検討するため、乗り物のまわりの空気の流れを紐解いていくのが「流体力学」。流体(空気をはじめとする気体や液体)の流れを論理的に解析する学問です。
  • 家庭用エアコンから、スポーツ競技まで。「流体力学」の解明で、広がる無限の可能性。
    研究室では、移動する物体のまわりやその後ろに生じる空気の流れを解析。物体に働く抵抗や、流れによって生じる騒音などを低減する方法を模索しています。空気は透明なため、流れをそのまま観測することはできません。そのため、「煙や染料などを用いて流れを観測する」「流れる空気の速度や圧力を測定する」など、さまざまな工夫をしながら実験を繰り返し、流れの本質を探求していきます。また流体力学は、乗り物のまわりの流れ以外にも、エアコンの気流やスポーツ競技の検討など、幅広い分野で活用できる学問。たとえば「サッカーの無回転シュートがブレる」なども空気の流れによる現象です。流体力学の研究は、このように無限の可能性を秘めています。
PROFILE
大藏 信之 先生
学生時代、当時の指導教授がJRと共同研究されていたという縁から、新幹線新型車両の走行実験のお手伝いをさせていただくことに。一般公開前の「のぞみ」に乗るという貴重な経験ができ、それをきっかけに流体力学にもはまってしまいました。