燃焼現象の解明で、
宇宙はもっと近くなる?

試作機によるトライ&エラーが繰り返される、ロケット・宇宙機の開発現場。推進薬の着火・燃焼現象が解明され、開発効率があがれば、今よりもっと宇宙が身近になるはず。

  • 宇宙機のエンジン、化学推進スラスタのしくみ。
    宇宙機が姿勢制御を行う際などに利用される推進スラスタは、燃料と酸化剤が混ぜ合わされたときに起こる着火・燃焼反応を推力に変えるという仕組みが、現在の主流になっています。しかし、このスラスタで利用されている燃料(主にヒドラジン系と呼ばれる物質)と酸化剤(主に四酸化二窒素)を混合したときに起こる着火・燃焼現象には未解明な部分が多く、推進薬(燃料や酸化剤)がどのようなプロセスで化学反応を起こして、どのように推力が発生しているのか、くわしいメカニズムはわかっていません。そこで私の研究室では、これらのメカニズムを解明し、スラスタ内部でどのような反応が起こっているのか論理的に形式化しようとしています。宇宙開発にも大きく貢献できる、夢のある研究です。
  • 推進薬の着火・燃焼現象が解明されれば、
    より論理的なスラスタ開発が可能に。

    推進薬(燃料)の着火・燃焼過程が解明されていない現在、スラスタの設計は試作機を用いたトライ&エラーを繰り返し、実験的に改良していくしかありません。さらに、燃料として現在主に利用されているヒドラジン系の物質が人体に有害な物質であることなど、さまざまな要因も相まって、化学推進スラスタの開発は、とても手間も時間も費用もかかる作業になってしまっています。そんななか、推進薬の燃焼の仕組みが解明されれば、より論理的に効率良くスラスタ開発を行うことができるようになります。宇宙開発事業において、開発費用の低コスト化は大きな課題のひとつ。開発コストの削減につながるこの研究が、宇宙がより身近な社会となる一助になれば嬉しいですね。
PROFILE
菅野 望 先生
学生時代、配属された研究室で指導教授とさまざまなディスカッションを重ねるうち、議論を繰り返しながらものごとを解明していく喜びを知り、研究職をこころざしました。今でも日々、学生たちとの意見交換を大切にしています。